武道や禅の教えとして有名な『守・破・離(しゅはり)』というものがあります。
「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階のこと。

例えば、スポーツ。
ゴルフやテニス、野球が上手くなりたいと思ったら、何万回も素振りをするでしょう。基本を繰り返すことで正しいフォームが体に染み込みます。
そして、もっと上手くなりたいと思ったら、プロ選手のフォームを繰り返し見て、自分でやってみるというように基本という土台の上にいろんなテクニックを学びます。

このように物事が上達するための教えを『守・破・離(しゅ・は・り)』というそうです。


初めの段階では、指導者の基本の教えをときかくきっちり守ります。
スポーツでは、コーチの教え通りに真似をして、無意識でもできるまで徹底的に体にたたき込みます。


基本をマスターしたら、次の段階は指導者の教えをただひたすら守るだけではなく少し破ってみます。つまり、自分独自に工夫してアレンジしてみる。指導者にはないやり方を試してみるのです。そして、徐々にいろんな場面で使える方法を取り込み、自分のものにしていきます。


最後に指導者の教えから離れて、自分自身で工夫し体得したものをさらに発展させます。自分独自の技なり世界を創っていくという段階です。


どの道にも、昔から受け継がれてきた基本形というものがあります。それが『』です。武道、書道、茶、音楽、能、歌舞など、これらは長い時間を経てつくられた型ですから、無駄がなく洗練されています。ですから、初めのうちは、繰り返し繰り返し、基本の稽古をしなくてはなりません。
この基本形の型が土台となり、その上に初めて個性というものが発揮されるのだと思います。


守・破・離の教えは、仕事にも生きています。

入社したての頃は、先輩や指導者の教えをひたすら守ります。
仕事の基本をたたき込まれるのです。この段階で辞めてしまう人が多いのですが、それでは仕事で自分の個性を発揮することはできません。ひたすら覚えて、自分の体に仕事の基本を染み込ませます。これが『』です。

次に基本ができてきたら、どうやったら仕事がやりやすくなるか、目標を達成させられるかを自分なりに考えます。「教えられたこと+α」を創りあげ、自分のものにします。これが『』です。

仕事が順調に行き始めたら、周りの信頼も増すでしょう。そうなると責任ある仕事を任せてもらえるようになっていきます。お店だったら支店の店長に昇格するかもしれません。これまでの仕事の基本をきっちりやって、それなりの成績を残している人だったら、周りの人がほっておくはずがないです。これが『』です。


いくら自分が成功したからとて、恩師とその教えがなかったら今の自分はありません。
どんなに偉くなっても、社長になっても、初心と謙虚な気持ちは忘れない。
自分が生かされていることに感謝することが大事だと思います。

この『守・破・離』を実行できる人とは、素直な気持ちを持っている人です。
素直さが一番の成功のカギとなるのだと思います。

昨日、某大手スーパーで、夕飯の買い物をしていた時のこと。
店内アナウンスで、男性の声で某化粧品メーカーの販売アナウンスが流れてきました。
「唇のたてジワの気になる方、口紅のノリの悪い方、1階化粧品コーナーで口紅の無料サンプルをお試しできま~す」というような内容。先日も同じ化粧品売り場で「乾燥、ほうれい線の気になる方、お越しくださ~い」みたいなアナウンスをしていました。
これじゃ誰も来ないでしょ…と思ってしまいました。
案の定、売り場は閑古鳥。
男性定員が暇そうに通り過ぎる人を眺めていました。

アナウンスすればするほど、お客さんが来なくなるような営業って、
どこがいけないのかわかりますか?

男性だからわからなかったのかな?
このアナウンスを聞いて売り場に行けば、「あの人、唇のシワやほうれい線が気になっているのかな?と思われてしまうわ」と思うでしょう。
マイナスのイメージを持たせるようなアナウンスをしてどうするの?!
と私なんか思ってしまいますが…。

では、どのようなアナウンスならお客さんが来てくれるのでしょうか?

何を売っているのかな?と思って、通りすがりに見てみたら、
なんと、今CM中のMアージュの化粧品ではないですか。
なぜ、Mアージュという名前を出さないの?
ほしい人はたくさんいるだろう!

私だったら、「今、CMで話題のMアージュの化粧品が、クリスマス特別セールにつき、お一人様1点限りで特別価格にてご提供しています。今がチャンス!無くなり次第終了させていただきますので、お買いもの途中のお客様はぜひ、1階化粧品コーナーまでお立ち寄りください。無料サンプルをお配りしています」みたいな内容で呼び込みするかな。


実は私、20代の頃に、婦人服の呼び込み定員をしていたことがあったのですが、店舗で売り上げNo1になったこともあり、この手の呼び込みにはちょっと専門知識があります。

呼び込み戦略の中に「お一人様1点限り」は、よく売れるというマーフィーの法則というものがあります。

考えてみれば、スーパーでよく見かけます。
卵、醤油、カレールー、洗剤など、「お一人様1点限り」は、絶対に買うものと思って、飛びついて買っています。買えた時はお得感で満たされます。

これは人間の心理を良く捉えていますね。
1点だけと言われると、もう一度並んででもほしくなる。
買えないと思うと、どうしても買いたくなる。
それが今必要でなくても、とりあえず買ってしまう。

主婦の気持ちをくすぐるようなPOP(私もPOPをやっていたのでわかるのですが)に、ついつい買ってしまっています…。

だいたいスーパーの食料品売り場で買い物をするのは、7~8割がた女性です。
そのうち、主婦が圧倒的に多いのではないでしょうか。
売り場を見ていると、棚の陳列は女性が手の届く高さですし、POPも大きく見やすい。どこのスーパーも、完全に女性を意識した売り場デザインになっています。
通路の真ん中にわざとおいてある特価商品も、邪魔だけど一度足を止めて見てしまうという売り場の心理作戦ですね。


女性は、特別なのが好き

お一人様1点限りの他にも、
今だけ特別キャンペーン
会員様割引
お客様ご優待
お誕生日特別サービス など、
心が奪われてしまういそうなフレーズがあります。

実際にお得になっているので、お客様も満足してくださるし、
お店側も売り上げが伸びれば、お互いにプラスになるのがいいですね。

小売りやサービス業は、女性が心をくすぐられる心理作戦を考えた売り場づくりやアナウンスでなければ売れません。
そして、男性定員が一番大事なことは、「自分が女性だったら?」と女性の気持ちを考えることが大切ですね。

仏作って魂入れず

仕上がっている物に、いちばん大切なものが
ぬけていたらどうしようもないということ。


なんとなく、だらだらと気持ちが入っていない流れる仕事をしている人は、形ばかりの仕事しかできないかもしれません。
何でもそうだと思いますが、その道のプロと言われる人たちは、常日頃から信念を持って仕事をしているのだと思います。だから、厳しい試練にも耐えることができるのでしょう。

私たちの仕事も同様、この道のプロと呼ばれるようになるために努力をすることが大切です。
「同じやるならプロになれ!」です。
それには、魂を入れて仕事をやること。
信念を持って、仕事に向き合うことです。

 1、自分の仕事に誇りを持っているか
 2、人間としてのマナーがあるか
 3、仕事の目的や目標を持っているか
 4、自己責任で仕事をしているか
 5、相手の立場でものを考えているか
 6、効率を高める時間管理をしているか
 7、自己管理をしているか
 8、問題を後回しにしていないか

一つひとつの問題をうやむやにしないで、早めの対策を考えて実行すること。
小さな問題を解決していないから、大きな問題に発展するのです。
問題に真剣に向き合うことが、プロとしての責任です。

「自分はプロだ」と言える仕事がしたい。
「いい仕事してるね」と言ってもらえたら本望ですね。

屏風は、まっすぐに伸ばしては立たない。
商人も同じで、いくら正しくても、理屈ばかり行っていたのでは、
商売は繁盛しない。少々理屈に合わなくても、
感情をおさえて付き合ってこそ商売はうまくいく。

                     ~商人生業鑑より~


屏風はまっすぐでも立たないし、曲がり過ぎてもすぐ倒れる。
商売も同じで、人間相手ですから感情もあれば、わがままも好き嫌いもあります。
理屈に合わないことも多々あります。
しかし、まっすぐ正しいことだからと理屈を通したところで、商売は成り立たない。だからと言って、曲がったことばかりでは、これもまた商売は成り立たない。
適度に感情を入れながら、理性も持たなければ商売繁盛にはなりません。

喜ばれる商売をすることとは、お客様の感情を大切にすること。
そのためには、利益重視よりも優先して行わなければならないことがあるということです。

自分は相手のために曲がれるか。
正論だけでは、商売は成り立たないということですね。

私が大好きな松下幸之助さんの名言を紹介します。
これを読んだら仕事に対する姿勢が変わる!松下幸之助の名言まとめより~


「幸福とは自分が幸せなこと、成功とは自他ともにあの人は幸せだなあと思われること。他人に成功と思ってくれるにはやっぱり世のため人のために何かを残す。死ぬときに世のため人のためにずいぶんしたなあと思えたら成功である」

「たとえ3日間の手伝い仕事であっても、その仕事に一生のような心構えで真剣に立ち向かうならば、そこから必ず大きなものを得ることができる。ということです。私のこれまでの体験からいうと、現在与えられた今の仕事に打ち込めないような心構えではどこの職場に変わっても決していい仕事はできない」

「人より一時間余計に働くことは尊い。努力である。勤勉である。だが、いままでよりも一時間少なく働いて、いままで以上の成果を挙げることもまた尊い。そこに人間の働き方の進歩があるのではないだろうか」

「人と比較をして劣っているといっても、決して恥ずることではない。
けれども、去年の自分と今年の自分とを比較して、もしも今年が劣っているとしたら、
それこそ恥ずべきことである」

「仕事には知恵も大事、才能も大事。しかし、もっと大事なことは些細と思われること、平凡と思われることも疎かにしない心がけである」

「どうしてみんなあんなに、他人と同じことをやりたがるのだろう。自分は自分である。百億の人間がおっても、自分は自分である。そこに自分の誇りがあり、自信がある。そしてこんな人こそが、社会の繁栄のために本当に必要なのである」

「石の上にも三年という。しかし、三年を一年で習得する努力を怠ってはならない」

「とかく人間の感情というものは、うまくいけば有頂天になるが、悪くなったら悲観する。 これは人間の一つの弱い面だが、それをなるべく少なくして、いつの場合でも淡々とやる。 信念を持っていつも希望を失わないでやることだ」

「働くことは尊いが、その働きに工夫が欲しい。創意が欲しい。額に汗することをたたえるのもいいが、額に汗のない涼しい姿もたたえるべきであろう。怠けろというのではない。楽をする工夫をしろというのである。楽々と働いて、なお素晴らしい成果が挙げられる働き方を、お互いにもっと工夫したいというのである。そこから社会の繁栄も生まれてくるであろう」

「ただ単に自分に与えられた仕事のみをやっていればよいと考えて毎日を過ごしていたら、あまり楽しさを感じることもできないでしょうし、ものごとを見る視野も限られてしまうと思います」

「十のサービスを受けたら十一を返す。その余分の一のプラスがなければ、社会は繁栄していかない」

「こけたら、立ちなはれ」




自分の仕事に責任と誇りを持っているか?
松下幸之助さんからそう問われているような気がします。

私の仕事は99%以上が”雑務”です。
しかし、その雑務が重要なのです。仕事の土台となっているのです。
それがなければ、高度な仕事はできません。

私は掃除一つでも、自分の仕事に誇りを持っています。
”何のためにやるのか”が重要で、
意識を持たなければ、何をやっても向上しません。

どんな仕事でも、与えられた仕事を責任を持って最後までやる。
それが、人から信頼される土台となるのだと思います。