先日、某保育所に視察に行った時のこと。
3歳児を担当していた年配の保育士さんが、○くんのお着替えを援助していました。
みんなはお着替えの前にトイレに行っていたのですが、○くんは行きたくなかったのか、
「トイレにいった」と言い張っていました。
それを聞いた年配の保育士さん。
「嘘でしょう?トイレ行ってないよね?ちゃんと先生の目を見て!」
などと、何度も○くんに言ってトイレに行かせようとしていました。
数分間のやり取りをしていましたが、結局、言えば言うほど○くんは頑なになってしまい、とうとうトイレには行かなかったのです。

離れた場所からこの光景を見ていた私は、この保育対応に疑問を持ちました。
・保育士さんは何をしたかったのだろうか?
・トイレに行かせることが目的なのだろうか?
・お着替えの前にトイレに行かせるという決まりを守らせることが大切?
・嘘をついていると決めつけるの?
・その嘘がどれほど悪いことなの?
・○くんは、なぜ嘘をつかなければならなかったの?
・疑われた子どもの気持ちはどんなだろう?

保育って、こんなんじゃないよな…。と思ってしまいました。
大人の都合で子どもは動いてくれないし、ましてや幼児です。
大人との信頼関係を築く大切な時期に、このような保育対応では子どもは先生を信頼できなくなるでしょうし、保育所が嫌いにいなってしまわないかと心配になります。

それに見たところ経験豊富な年齢の保育士さんのようですが、
だからこそ、凝り固まった考え方になっていないか、自分を振り返ることが必要なのだと思いました。

ほんの一場面なのですが、保育のやり方や考え方が垣間見られた瞬間でした。


今日は、幼児期特有の”嘘”について、取り上げてみたいと思います。

大人の嘘と幼児の嘘では、意味が違います。
幼児期特有の嘘は、それほど心配しなくてもいい「問題のない嘘」がほとんどのようです。

空想の世界の嘘
幼児期の子どもは、空想の世界と現実の世界の境界線がなくなり、現実にないことを本当にあったと思い込んでついてしまう「嘘」があります。たとえば、大好きなお人形がおしゃべりしたというような、かわいい内容です。成長とともに、少しずつ空想の世界と現実の世界との境界線がはっきりしてきて、こういう磯はつかなくなってきます。

願望の嘘
こうなったらいいな…という強い思いから、ついてしまう嘘です。
たとえば、お母さんが「春休みにディズニーランドに行きたいなー」と言ったとします。それを聞いた子どもが、ディズニーランドに行きたいという強い思いから、「今度、春休みに、ディズニーランドに行くんだ」とお友達に言ってしまうような嘘です。このような場合、本人は、嘘をついている意識がない場合もあります。

このように、誰かを騙そうというような「嘘」ではなく、幼児が成長していく過程の一つにこのような嘘があることを理解しておく必要があります。

冒頭でご紹介した○くんの嘘は、
「今はトイレに行きたくないよ」「早く遊びたいな」というような気持ちの現れであって、意図として嘘をついたわけではないのだから、真剣に取り合う場面ではないのです。

この場合の保育対応は、
・お着替えの前にトイレにいきたいかを聞いてみる
・行きたくないと言えば、「トイレに行きたくなったら教えてね」と伝え、
 そのままお着替えを促す
でもよかったのです。

例えおもらしをしてしまっても、また着替えればいいことだし、本人が「トイレに行った方が良かったな」と気が付いて、学習できればいいわけです。

この件で垣間見られることは、おもらししたらまたお着替えさせなければならず、自分の仕事が増えるという大人本位の考え方が根底にあるのかもしれませんね。

忙しい保育の仕事ですので、なるべく手間をかけたくないという気持ちはわかりますが、保育の主体はあくまでも子どもです。失敗させないように、手間がかからないようにすることが本当に子どもにとって良いことなのか?その辺の見極めが大切なのではないでしょうか。


注意してほしい子どもの嘘

一匹のライオンに率いられた百匹の羊