平成30年度改定予定の「保育所保育指針」では「5領域」に加え、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の項目が追加されるそうです。

それは、
・健康な心と体
・自立心
・協同性
・道徳性・規範意識の芽生え
・社会生活との関わり
・思考力の芽生え
・自然との関わり・生命尊重
・数量・図形、文字等への関心・感覚
・言葉による伝え合い
・豊かな感性と表現 
※「幼児期の教育と小学校教育の円滑な持続の在り方について(報告)」(平成22年11月111日)に基づく整理。

これを見て、どんな子どもを連想するでしょうか?

学校教育が打ち出している「生きる力」に結び付いたものであることは確かですが、私はこの10の力は、自分の人生を切り開くための”試練を乗り越える力”のような気がしています。

健康な心と体であることが基本で、その上で自立であったり、思考であったり、表現であったり…。自分で考えて行動できる人間の育成が乳幼児期から求められているのではないでしょうか。

それはなぜか?

それは、社会が求めている人材だからです。

社会人基礎力」(3つの能力と12の能力要素)というものがあります。
・前に踏み出す力(アクション)
 主体性…物事に進んで取り組む力
 働きかけ力…他人に働きかけ巻き込む力
 行動力…目的を設定し確実に行動する力

・考え抜く力(シンキング)
 課題発見力…現状を分析し目的や課題を明らかにする力
 計画力…課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
 創造力…新しい価値を見出す力

・チームで働く力(チームワーク)
 発信力…自分の意見をわかりやすく伝える力
 傾聴力…相手の意見を丁寧に聴く力
 柔軟性…意見の違いや立場の違いを理解する力
 情報把握力…自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
 規律性…社会のルールや人との約束を守る力
 ストレスコントロール力…ストレスの発生源に対応する力

21世紀型能力
21世紀型能力とは、「生きる力」としての知・徳・体を構成する資質・能力から、教科・領域横断的に学習することが求められる能力を資質・能力として抽出し、これまで日本の学校教育が培ってきた資質・能力を踏まえつつ、それらを「基礎」「思考」「実践」の観点で再構成した日本型資質・能力の枠組みである。(国立教育政策研究所)

このような人材が求められている現代社会なのです。
要するに、社会人になって求められる人材に育てようと思ったら大変なことであるから、できれば乳幼児期に育てておいてほしい、という訳です。

ということは、保育所は保育をするだけの場所ではありませんよ、ということです。
保育所保育指針の第一章 総則の2「保育所の役割」中には、次のように書かれています。
「(二)保育所は、その目的を達成するために、保育に関する専門性を有する職員が、家庭との緊密な連携の下に、子どもの状況や発達過程を踏まえ、保育所における環境を通して、養護及び教育を一体的に行うことを特性としている」

つまり、”養護と教育は一体的に行うもの”なのです。
よく、養護は保育所、教育は幼稚園と思われているようですが、そうではありません。
保育所は養護と教育を一体的に行うのですから、保育所は教育を行う場所でもあるのです。

教育と言っても、小学校教育とは違います。
たくさんプリントをやったり、文字や数を教えることではなく、幼児教育は「遊びながら学ぶ」ことです。

砂と土では、手触りや固まり方や匂いまで違います。
子ども達は、触って、丸めて、乾燥させたりして遊びながら違いを学んでいます。
どうして砂はサラサラしているの?
どうして土はドロドロするの?
と考えたり、思いついたことを行動してみたりすることで、体験学習をしているのです。
これが、幼児期の遊びながら学ぶことで、幼児期にはもっとも必要な体験学習なのです。

このように、乳幼児期にたくさん遊んで学んだ子どもは、小学生になってからの意欲や認知能力に差が出るのだと思います。学校教育は試練の連続です。勉強についていけない子は、劣等感を味わうからです。

私は、乳幼児期にたくさん試練を乗り越える経験をした方がいいと思っています。
すぐに親が助けてあげるのではなく、自分で考えて行動できるようにしておくことが大切です。

いつかは、子どもは親元から離れて自立していかなくてはならないのですが、その時期が来たら誰でも自立できるわけでないと知らなければなりません。
自立心は育てていくものです。
自立がすんなりできる親子になっていくことが、将来の子どもの幸せのためには必要なことなのです。そのためには、親の方も子離れをするように、子どもと共に育っていかなければなりませんね。

その準備段階として、保育所があるということも知ってほしいなと思います。

子ども達が、試練を乗り越えられる力を育てていけるように、
これからも親子さんたちを温かく見守っていきたいなと思います。

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