掃除は繁盛のもと

お客様への周到な心くばりは、
店の整頓、掃除にもおのずとあらわれる。
いつもきれいに掃除されている店は、
お客様への気くばりも行き届き繁盛している。
日々の整理整頓、掃除を大事にしたい。


~松下幸之助 『お客様大事』より~


私が神学を学んでいた20代の頃、一番初めに教わったことは、‘何事も掃除から‘というものでした。まずは掃除の仕方を徹底的に教わりました。朝夕、広い拝殿の大広間や縁側を雑巾で何度も乾拭きし、無垢材の床が光るまで磨きました。

その後に経営を学んだ時も、‘商売は環境整備から‘ということを教わりました。
掃除や環境整備は、そこにいる人の心を整えるための基本中の基本なのです。


繁盛している店や会社で、経営者自ら掃除をする姿をテレビなどで紹介しているのを観たことがあります。成功している社長さんは、自ら会社の玄関を掃除して環境を整備しています。それが基本で、大切な仕事だということも知っているのです。

先日、保育所長の研修会で、「所長の役割」について議論しましたが、所長の役目で意見が多かったのは、ビジョンを語ることやリーダーシップ、人事、職員理解等でした。
でも、私は一人だけグループで違う意見だったのですが、却下されました。
それは、環境構成やお金の管理。
却下された理由は、それは別の人でもできるからだそうです。

確かに、リーダーシップやビジョンを語ることは大切なのですが、リーダーだからこそ細かいところを常に気にしてみなければならないのではないかと思うのです。リーダーがいくら理想を語ったところで、整備されていない環境では何も始まりません。
リーダーが一番初めにやらなければならない仕事は、環境を整えることではないでしょうか。

私は休日などに時間が空くと、弊社が経営する保育園や隣接している学童保育施設の周りの草刈りやペンキ塗りなどの環境整備を行っています。通りに面しているので、行き交う車の中から見られているみたいで、時々、「お休みの日もお仕事をされているんですね。大変ですね」とお声をかけていただくことがあります。

どうも、掃除や環境整備というと‘ご苦労様‘と思われているようですが、これは私がやりたくてやっている大事な仕事なので、大変とか苦労とか思ったことはありません。それどころか、きれいになっていくと気持ちが良くなって、もっとやりたくなります。掃除は、やる人もそこにいる人も、心をきれいにしてくれるものなのだと思います。

「なんで私が掃除なんてやらなければならないの」と不平不満の心で、大変だ、苦労だと思いながらやっていると、掃除も心遣いが感じられない中途半端な出来で終わってしまいます。掃除にも出来栄えがあるのです。

企業に話を戻すと、
社長の姿を社員が見ています。
親の姿を子どもが見ているのと同じです。

社長の背中を見て社員が育つのですから、「掃除をやれ」と言わなくても、社長自ら掃除を行っていれば、黙っていてもちゃんと気づいてやってくれるものです。社長は表に出るのも仕事ですが、普段は縁の下の力持ちでいいのではないかと思います。

私は、経営で一番大切なことは、
経営につながる‘道徳心‘を持つことだと思っています。

人に喜ばれる生き方をすることが、幸せな人生をつくる方法ではないでしょうか。
人の役に立ち、人が喜んでくれる生き方をすることで、それを見て育った子どもたちもまた、親と同じように人の役に立つ生き方を身につけ、末代まで繁栄させることができるのだと思います。

経営では、お客様が喜んでくれること、世の中の役に立つ事業を心がけることが使命です。社員一人ひとりが経営につながる道徳心を持ってお客様や世の中の役に立ち、感謝の心を現すことで、品性資本を培うことができるのです。

そのためには、真心を持って気持ちよく出迎えて差し上げること。
それが、経営を行う者の大切な役目ではないかと思っています。

試練を乗り越える力

「認めたくない心理」に動かされる人