以前、同じ時期に女性の方から2件ほど、個別に起業に関する相談を受けたことがありました。

30代独身の女性のAさんと、同じく30代子育て中の主婦のBさんでした。

お話してみて、お二人は起業に対する考え方が明確に違っていました。
 Aさんは、具体的な内容ですでに行動している。確認のための相談だった。
 Bさんは、やりたいことがあっても明確ではない。自分探しの真っ最中。

Aさんに経営について質問すると、考えがしっかりしていてプランもありました。
リスクも考えていて、なるべく初期投資を抑え、できるだけ自分たちでやったり手作りしたりするなどして起業することを考えていらっしゃるようでした。

一方、Bさんにも同じ質問をしましたが、やりたいことへの補償までは考えていなかったようでした。「あれもやりたい、これもやりたい」とおっしゃるばかりで、失敗した時やマイナスのことがあった時の想定は全くなく、考えもあいまいで、まして覚悟や決意などの心もまだできていなかったようでした。

その結果、
Aさんは翌年の春には予定通り起業することとなり、
Bさんは、起業の大変さを感じたのか、やはりできないと断念されたようです。

Bさんは数年たった今でも、まだ迷い途中のようです。


何かを始めるということは、それがいくら自分のやりたいことであっても、夢ばかりを追いかけている訳にはいかなくなってきます。
失敗した時の想定は? 補償はどうするのか?
軽い気持ちで自宅で開業するとしてもです。

それに、やりたいことや夢を叶えるということは、事務手続きなどの面倒なこと、役所や他人に言われて行うことなど、自分が本来やりたいことの何倍もやりたくないことや自分の本位ではないことをやらなければ、自分のやりたい夢にはたどり着かないと思った方がいいですね。だから夢を叶えたい人は、『ちゃんと最後までやれる覚悟があるか?』をもう一度確認した方がいいと思います。

また、資金の調達や返済方法、収支の計算などもキチンと出してから、本気で起業を考えなくてはならないと思います。私は起業して3年間は、ほぼ無償で働きました。それどころか、持ち出しのお金の方が多かったです。そのお金は返ってきませんから、自分の会社に寄付したようなものです。しかし、これが覚悟というものでしょう。そうでなければ、ただの‘絵に描いた餅‘になってしまいますから。

そして、起業するということは、全ての責任を起業した者が持つということです。
いくらやりたいことがあっても、その覚悟がなければ、起業はもう一度考え直した方が良いと思います。


ちなみに…
会社生存率というのをご存知でしょうか?
国税庁が調査した「中小企業が設立から倒産するまでの期間」をまとめたデータのことです。

会社生存率データベースでは、
   年数   存続率   
    5年    14.8%        
   10年    6.3%         
   20年    0.4%       
   30年    0.021%  
となっています。
中小企業は、『設立から10年で倒産する確率90%超』というのが現実です。
このように新しい会社組織が設立されても30年後には、ほぼ1社も残っていない状態なんですね。

大半の企業の倒産理由は、資金ショートだそうです。
会社組織は、柱となる資金がなくなると100%倒産します。
従業員に給料が払えない、下請け業社に仕入れの支払いができない、金融機関の借入の返済ができない、税金を納めることができないなど、とにかく資金がショートすると全てが終わりです。

資金ショートせずに、経営を継続させていくためには、覚悟だけでは足りません。
経営のノウハウ、経理コンサル、市場リサーチ、流行りに乗ることが大切です。
その知識や経験がものをいいますので、経営者は常にアンテナを張って、
いろんな分野の勉強をしていく必要があります。

始めは素人考えの熱意だけで起業しても、そのうち必ず壁にぶつかります。
その時に足りないものが、経営に必要な知識や経験なのだと思います。

それから、中小企業で資金ショートになる原因の一つに、「公私混同」があります。
社長が、会社のお金を自分のお金を勘違いしてしまうのです。
会社のお金を私的に使いこんでしまうため、それがマヒする状態です。
このようなことにならないためには、第3者の目が必要です。
客観的な判断ができる人を自分の会社の内外におくことです。

私的流用をして、倒産した会社を私は何社か知っています。
経営者は、公正な目、耳、頭、心を持っていなければなりません。

そして、現在多くなっている問題は、後継者がいないこと。
継承する人がいなければ、やはり会社は倒産という結果になってしまいます。
その理由で、30年後の生存率は、ほぼ0に近いということなのだと思います。
これからは、後継者問題も頭に入れておかなければなりませんね。


ということで、冒頭のBさんが起業しても、5年後、10年後の生存率は低いというわけです。

これでも、起業したいと思いますか?

それでも、会社を継続することに比べたら、”起業は容易い”のです。

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