十数年前の話です。

当時流行っていた『バトル鉛筆』を集めていた、小学校低学年だった3人兄弟。
鉛筆を取り合って、兄弟ケンカが始まりました。

それを見ていたお父さん、兄弟が持っていた数十本あった鉛筆を全部取り上げ、
「うるさい!ケンカするなら鉛筆なんかいらないだろう」と、
鉛筆を‘ボキボキッ‘と、全部半分に折ってしまいました。

子どもたちは、それを見てわんわん泣き出しました。

お父さんは、兄弟たちに
「お前らがケンカすると、こうなるんだ!おぼえとけ」
と言って、折った鉛筆を捨ててしまいました。


3人の兄弟は、高校や専門学校を卒業すると次々に就職しましたが、
我慢がきかず、3人とも1週間で退職。

その後は、ここでは言えないような様々な問題が浮上して、
大変な状況になってしまいました。


当時私は、そのお父さんが鉛筆を折る一部始終を見ていました。
その後の兄弟の成長も、折に触れ見てきました。

一つ言えることは、
大事にしていた子どもたちの鉛筆を、その時のお父さんの感情で全部折って捨ててしまった、という事実があるということ。

それを見ていた子どもは、何を学習したのか?

「カッとなったら、大事なものを壊してもいいんだ」
「怒ったら、お父さんみたいに怒鳴ってもいいんだ」
と思ったかもしれません。

物を大切にするという基本的な躾もできません。


すると、どうなるのか?

我慢することをしなくなる。
頭にくれば、カッとなれば、大事なものでも壊してしまう。
就職できても、嫌なことがあれば我慢をしないで感情のままに辞めてしまう。
それでもいいんだ。
だって、お父さんだってそうやっていたから。

3人兄弟たちは、全員がそう学習してしまったようです。

そもそも、バトル鉛筆というちょっと高価な鉛筆を数十本も買い与えたのは、誰でもない親自身です。
欲しいと言えば買い与え、ケンカをすれば折って捨てる。

これをどう見るか?

自分のしてきたことを否定する行為ですね。
これでは、子どもは親のやることを矛盾に思ってしまうでしょう。


子どもは、いいことも悪いことも、親の背中を見て育ちます。
親が短気で我慢できないと、子どもも短気で我慢のきかない子になるのです。

そして、その子が親になっても、同じことを繰り返すことになるでしょう。


どうすればいいのか?

親自身が自分を客観視することです。
子どもの目には、親である自分はどう映っているのだろうか?
子どもの立場に立って、子どもの気持ちを知ることが必要ではないかと思います。

改めなければならないのは、ケンカをしていた3人の兄弟ではなく、
カッとなって我慢がきかなかった、お父さんの方ではないでしょうか。

親の言葉一つ、行動一つで、子どもの人生が変わってしまうこともあるのだと
十数年に渡り、目の前で見せられてきた出来事でした。

がくどうのおやくそく

放っておいてほしい息子と、構いたい母親