私が経営するありんこ親子保育園ありんこの森保育園おおきなかぶ学童保育の園舎は、一般住宅を改装した小規模保育施設です。無垢の木をふんだんに使った園舎はぬくもりと安らぎを感じ、まるでお家で育つような空間になっています。

このような保育施設のことを『いえ型保育空間』と言います。
以下、「いえ型保育空間」における異年齢保育の集団形成に関する調査研究より抜粋します。

子どもが1 日の大半を過ごす保育施設は単なる通所施設ではなく、子どもの発達を保障する家庭的要素を軸とした生活施設であるべきである。現代の一般的住宅と同じように「居間」「寝室」「食堂」などの各居室によって構成された「いえ型保育空間」において、1~5 歳児混合の「きょうだい保育」を実施する全国初の保育園を対象に、より豊かな子どもの生活環境を提案するべく、保育室内での調理員常駐・調理実験を試験的に実施し、前後の子どもの生活実態の把握を行った。その結果、保育室内の居室利用は、概ね「寝室」>「居間」≧「食堂」>「ユーティリティ」の順に多く、園児が体験する集団の7 割以上が「異年齢集団」であり、特に、食事・着替え・午睡などの生活にかかわる行為での異年齢の関わりが顕著であった。また、実験による子どもの居場所及び集団構成に大きな変化は見られなかったが、個人追跡調査の結果では、子どもが調理員のもとへ自分のタイミングで向かう姿が多く見られ、保育士との関わり方とは違う新たな関係づくりが見られた。
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研究の背景および目的

「いえ型保育空間」とは、従来の食寝同室の保育空間とは違い、普通の住宅と同じように「居間」「食堂」「寝室」などの各居室によって構成された「家」のような保育空間の事を言う。日本の保育園の多くは、同年齢同士の「年齢別保育」をワンルーム型保育空間の中で一斉に行うことが主流であった。近年、子どもの意思を尊重した「自由保育」や子ども同士の育ち合いを目的とした「異年齢保育」が注目を集めている。しかしながら、「異年齢保育」を実施する園の多くは、年齢や発達段階の違いを考慮し、1 日の保育生活の中でも食事や午睡といった生活行為を中心とした、ごく限られた条件付きのものとなっている。3~5 歳児や4~5 歳児のみの交流だけでなく、本来の一般家庭のように1、2歳児も含めた「きょうだい保育」は、新たな異年齢保育のあり方として期待されている。

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今でこそ、"いえ型保育空間"や"異年齢保育"は注目を浴びている保育の形ですが、私が10年前にこれを提唱した頃は、まだまだ地域に理解されていませんでした。

一部異年齢保育を実践している幼稚園・保育園でも一時的なもので、それも年少~年長の縦割り保育のことを「異年齢保育」と呼んでいました。

私の疑問がフツフツと湧いてきました。
これで異年齢保育と言えるのだろうか…?

異年齢保育は、こんなんじゃない。

私が考える異年齢保育とは、昔の家族や兄弟・ご近所のような形でした。
赤ちゃんもいれば、小学生もいる。
上の子が下の子の面倒をみたり、遊びやルールを教えたり、子ども達との関わりの中で、社会勉強ができる場所です。これこそが、異年齢の関わりの重要な点だと考えたのです。

私が育ったのは、子どもが多かった昭和40年代。
近所の幼児から小学生まで一緒に近所の田んぼや堤防、公園などで日が暮れるまで泥んこになって遊んでいました。ただ遊んでいるだけのように見えても、そこには子ども社会がありました。

地域の「子供会」も盛んに行われていました。
今のように親がおぜん立てをする子供会とは違って、子どもが主体となって考えて実行する会でした。

私が小学4年生の頃、私の家で子供会をやった時に6年生のお姉さんたちが劇をやってくれたんです。ワイヤーの先に蝶をつけて、ゆらゆらさせながらコントをするのです。それが面白くって大笑い。まだ1歳のだった私の弟が蝶をとろうと飛び入り参加してしまって、また大笑い。あんなに笑ったのは初めてでした。楽しかったな…。

私が6年生になったら、今度は上級生がやってくれたことを自分たちがやる番です。「皆が喜びそうなことは何かな?」と考え、当時流行っていたピンクレディーの『 ウォンテッド』を下級生と一緒に振り付けして歌いました。何日も前から集まって練習したり、衣装も自分たちで作ったんですよ。
当日は、緊張しながらもノリノリで歌って踊れました。
皆も一緒に歌ってくれて大成功!
キラキラした思い出となって、今でも鮮明に蘇ってきます。

子供会は毎月、各家を持ち回りで行っていました。
お母さんたちはいつも笑顔で迎えてくれて、地域の皆が大家族のようでした。
私はたくさんのお家で育てられたんだな、と思います。
これが私の「異年齢保育」の原点です。


異年齢の関わりは、小学生までにたくさん経験することが大切です。
そこには、同年代の遊びだけでは育ちきれない上の子から下の子への遊びやルールの伝達があります。ケンカをしたり仲直りをしたりしながら人間関係も学びます。その中で子ども社会が生まれるのです。大人になる手前の社会へ出る準備段階と言えるでしょう。これは、その後の人生の礎になるものです。

子どもが安心して過ごせる家庭的な環境で、異年齢の子どもたちと兄弟のように過ごせる場所が現代の子ども達には必要なのではないでしょうか。子どもの心を育てる取組が、保育でも大切なことではないかと感じている、今日この頃です。

”経験”という強い武器

保育力を磨く